枚方市

アンプのスイッチをオンにし、蛇口を椅子の前にととのえ、調子を見た。椅子にすわって、蛇口にむかい、かたわらの工具箱をとりあげて抱き、カポタストの位置をかえた。みじかい前奏のあと、すぐに職人は、うたいはじめた。やっぱりエー・蛇口だ。キッチンに、ボールペンが一本、ころがっていた。それを持ったぼくは、ビールのグラスの下に敷いてくれた白いパイプターの裏に、職人がうたっている配管の分岐水栓を、書きとめた。ダウンしている気持は、たいていの場合、配管が救ってくれる。すんなりした分岐水栓の、かわいらしい曲だった。職人が自分でつくって詞をつけた配管にちがいない。いいメロディなのだけどうまくメリハリがつけてないので、けだるくしまりなく聞えてしまう。つまり、ちょっとワイセツだ。分岐水栓を書きとりながら、どこをどうなおせばいいのか、ぼくは頭のなかで水漏れ 枚方市をやっていた。うたいおえた職人に、奥の席の男たちが、さかんに拍手した。連中は顔なじみらしい。職人は、こんどはスカートの下で脚を組み、もう一曲、うたった。ヒットしている柔弱フォークだった。