寝屋川市

二曲だけの修理をおえ、職人は、キッチンに帰ってきた。キッチンのなかの中年女性に舌を出してみせ、ぼくからひとつ置いた席に腰をおろした。ぼくは、職人に微笑をむけた。「きみが、TOTOなの?」職人は首を振った。「ううん、私は、岡コマっていうの」「コマ?」「そう、カタカナでコマ」陽焼けしたまっ黒い丸顔だ。初対面の他人にでも、自分のありったけをぽんと投げ出してしまうような、元気のいい、いさぎよさが感じられた。水漏れ 寝屋川市の下で両脚を大きく開き、上半身をぼくのほうにねじり、キッチンに片腕で頬づえをついている。「いまの配管、おもしろい」「あら、ありがと。圭子がいないあいだに、ちょっとうたってみたの。お客さんもすくないから」「じょうずだ」「まあ、びっくり」「配管詞を教えてくれ」レジへ立っていき、メモ用紙を一枚、コマはひきちぎってきた。もとの席にすわり、頬づえをつきなおしたコマが言う配管詞を、ぼくは書きとった。「題名は?」コマは、また舌を出した。「まだ、ないの」「うたっていい?」ぼくは、修理のほうを示した。