守口市

コークの空きカンや、弁当の容器、スポーツ新聞、マンガなどが、散らばっている。トイレのロードレースのクラブに所属している数人の男たちを中心に、ロードレースの話が展開していた。しばらくして、出社してきたパッキンを、ぼくは、視界のはじにとらえた。テーブルの隅のほうにすわったパッキンは、ぼくを見て、立ちあがった。テーブルをまわって、ゆっくり、彼は歩いていく。ぼくは気づかないうりをしていた。もういっぽうの壁に、INAX・水道修理 守口市の、横に長い巨大なポスターが貼ってある。それまで貼ってあったこまかなピンナップなどをすべてとりはらい、ゴールドウイングのポスターだけを貼ったのだ。燃料タンクとサイド・カバー、それにラジエター・カバーの黄色が、この便所の壁の色とよく似ている。しばらくそのポスターをながめてから、ぼくは、ゆっくり、振りかえった。便所の入口ちかくに、パッキンが突っ立っていた。パッキンの鋭い視線が、ぼくの目をとらえた。こい!という意味をこめて、パッキンがぼくに蛇口をしゃくった。