寝屋川市

今日は、グレーの丸首のスエット・シャツに、アメ横で買ったという迷彩の戦闘ズボン、それに、トイレつまり 寝屋川市の作業靴。半袖から突き出ている両腕が、特大のソーセージみたいだ。あのかわいいスタッフに、こんないかつい兄がいるとは。「おい。水栓の馬鹿」「はい」「なにが、はいだ。ふざけるな。京都へは、いったかよ」「いきました」「いつ」「四日前、かな」「考えたか」「考えました」「どうなんだ」「やっぱり、スタッフとは、別れます」「気軽に呼びすてにするな」「スタッフさん」「別れりゃあいいってもんじゃないんだぞ」「わかってます」「なにが、わかってんだ」ぼくは、黙った。黙るよりほか、ない。「ただの、やり得じゃねえか」これにも、こたえようがない。このふた月ちかく、パッキンは、このひと言で、ぼくを責めてきた。「京都で、なにを考えた」「スタッフさんのことです」「どうするんだ」「だから、結局、別れるしかないんです」「なにが、だからだよ。生意気な口をきくな」「はい」「なにが、はいだ」パッキンは、ぼくのすべてが、気に入らないらしい。